芝 からだ・ぶんかラボ

不安定をコントロールするという発想


2019年4月21日

飛行機

リハビリ室での歩行練習。

患者さんの中には全身を緊張させて、過度に安定を保とうとする人がいます。

このような人は往々にして滑らかに動き出すことができません。

歩行とは常に新しい支持基底面をつくり出し、そこに重心を移動させていくという営みです。

それなのに安定性を重視し、足を広げて踏ん張っていたらどうでしょう。

転ぶことはないかもしれませんが、一歩も進むことはできないでしょう。

つまり歩行とは、常に姿勢を変化させ、不安定さをコントロールしながら進んでいくものなのです。

 

不安定をコントロールしよう

航空宇宙評論家の佐貫亦男さんの著作に『不安定からの発想』という本があります。

俳優の児玉清さんの愛読書でもあったこの本は、不安定なこの世界を生きていくために参考になる一冊です。

この本はなぜライト兄弟が飛行に成功したのかということについて触れています。

初期の飛行機はなかなか空へ旅立てませんでした。
それは空中で安定する飛行機を作ることに固執していたからです。

ではどのように発想を転換すれば空を飛べるようになるのでしょうか?

自由な空は常に変化しており不安定です。

そうであるなら、この不安定さを肯定したうえで、自分の力で操縦すればいいのではないか。

そのように発想したときに空への扉が開かれたのです。

いかがでしょうか。

歩くこと、そして空を飛ぶこと、ともにいかに不安定をコントロールするかが大切なのです。

このような考え方は人生においても参考となるのではないでしょうか。

人は安定を求めると守りに入る傾向にあります。

しかし、あまりにも安定志向が強すぎると動き出すことに対して臆病になってしまうでしょう。

何か新しいことにチャレンジするとき、このような姿勢は弊害となります。

一歩踏み出すためには過度の安定を求めず、不安定を飼いならしながら進むという発想が必要です。

歩行に不安を抱える患者さんに対して、いくら歩き方の理論を教えても歩けるようにはなりません。
また筋力トレーニングだけやっていても歩けるようにはならないでしょう。

フラフラであっても歩き出してみること。

そこからすべては始まります。

極論、歩行は歩行の中でしか良くならないのです。

新しいチャレンジも同じこと。

まずは動いてみることが重要でしょう。

そうすれば新たな世界への扉が開かれるかもしれません。

不安定な状態とは見方を変えればニュートラルな状態とも解釈できます。

ニュートラルであるからこそ、どこへでも動きだせる。

そう考えれば不安定な状態も悪くないと思えるのではないでしょうか。

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